製造業の限界

「世界のトヨタ」の業績が急激に悪化しています。

『トヨタ:下期赤字に 景気減速・円高直撃、通期も8割減益予想』



日本が世界に誇る、物作りの象徴的な企業の失速は、
一時的なものでは無いでしょう。

一連の経済危機は、金融経済だけではありません。

 

産業景気が急速に冷え込んでいる。自動車の国内販売が歴史的な落ち込みを見せ、その影響が工作機械や鋼材に波及。好調を維持してきた薄型テレビなどデジタル製品の販売にもブレーキがかかった。金融危機に端を発した世界経済後退で需要が縮小。産業景気の底は見えにくくなっており、企業による投資・雇用の絞り込みが加速する恐れが強い。

 需要の落ち込みが際立つのが自動車。米国市場の不振が目立っていたが、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻後に日本でも販売が急落。新車販売台数(軽自動車を除く)は9月が前年同月比5%減、10月13%減、11月27%減と月を追うごとに悪化、12月も苦戦が続く。「想像をはるかに超え、先が見えない状況」(福井威夫ホンダ社長)

日本を牽引してきた自動車産業の停滞は、
関連する多様な業界に直接的に影響します。

「世界のトヨタ」が、わずか1年で利益の8割を失い、まさかの赤字転落です。
トヨタが倒産する事は無いでしょうが、大幅な人員削減は必須であり、
中小企業の体力では、この不況を乗り越える事は出来ません。


そして、景気が冷え込み、雇用は一気に縮小します。

2010年新卒の9割が就職「難しく」 前年11%から急増


わずか1年前に同じ質問をしたところ、就職が難しいと感じている学生は11%、
それが今年は逆転して、9割が難しいと答えています。


想像以上の早いスピードで、景気が悪化し、雇用が縮小し、商品は売れなくなっていく、この傾向は、来年さらに悪化していきます。
この不況は一時的な落ち込みではなく、継続的に下がり続ける構造的不況です。


それに対して政治、経済のリーダーは一時的な表層的な対策しか打ち出せず、
麻生首相への求心力も弱まるばかりです。


もう物を作って、経済を成長させる事は不可能な時代です。
物は余っています。
物を作ると環境破壊になるジレンマがあります。
金融経済も崩壊しています。お金のためにお金を投資する事も通用しません。


これからは人間を育てるサービスが必要です。
物を買って、幸せを感じる、満足する、そういう消費主義は、過去のものです。