第五段階 科学技術革命

「科学技術革命」が、他の革命と異なる大きな特徴として、17世紀に、西欧世界のみで生まれたと言う事があげられます。


人類歴史上のこれまでの四つの革命はどれも、空間的には複数地域でほぼ同時期に発生していますが、科学技術革命だけは、地球上で西欧と言う空間に限定されて起こっている事が大きなポイントです。


日本の軍事力は、戦国時代末期から徳川の歴史に至る頃には当時、全世界で最強だったと言う説もある位ですが、それが、西欧に圧倒されるようになったのは、西欧のみで起こった科学技術革命が、それまでの人類歴史上に無い、全く新しい未知なる力の開発に成功したことです。


これが世界の歴史における「近代」の原点となります。

科学技術革命は、第4の革命である精神革命の発展上の一部分と位置づける事ができますから、科学技術革命の種は、精神革命の中に見つける事ができます。


代表的な人物をあげれば、「知は力」といったベーコンのスタンスと、
デカルトニュートンの合理的、機械的世界観があります。

人間と宇宙自然を、それぞれ完全に無関係のものとして、バラバラに分離独立させて、
人間の理性が自然を支配すると言う理念が確立したのです。
明確な主客分離の上に成り立つ合理主義的な理性は、宇宙自然の姿を機械的に分析し続けることで、それまで隠されていた自然の本質を次々に明らかにしていったのです。


この世界観を進化、発展させ、人間がやっていた仕事を機械に代替させる手段を追及していった結果が、現在の雇用の問題と直結します。
科学技術の追求によって、急激に人間の仕事が機械化、効率化されるので、人間のやる仕事がなくなっていくのは当然です。


ですから、現在の雇用危機はサブプライムローンに端を発した突発的な不況でもなく、
一時的な不況でもなく、人類歴史上の進化発展の歴史から見て必然的に起こる構造的、歴史的な問題と言えるのです。