第六段階 環境問題の現状と取組み

地球が長い歳月をかけて作り出した、化学燃料を始めとする様々な有限資源を、
人間は自らの所有物として利用してきました。


自然環境の破壊を通して得たものを、人間の知恵と技術を活用して加工し、
人間がより便利に、より快適に生きるための商品を作り、人間固有の意味、価値(価格)を付け、大量に生産し、大量に消費し、大量に廃棄するといういびつな物質文明を作ってきたのです。


人間の便利さ、豊かさ、快適さを求める欲求は留まることを知らず、
その結果として、自然が本来持っている循環能力、自浄能力、回復能力、
生態系との均衡、修復必要時間をオーバーした人為的な環境負荷によって、
地球自然は悲劇的な状態になっています。


ざっと挙げてみるだけでも、
大気汚染、土壌汚染、水質・海洋汚染、森林破壊、砂漠化、エネルギーの枯渇、
温暖化、気候変動、産業廃棄物、都市公害ときりがありません。


これらの現象は、人間をはじめとした生物に有害な化学作用をもたらし、
有害電磁波や複合汚染による生殖・ホルモン・精神異常・アレルギーの原因にもなっています。


そんな中、人々の問題意識、危機意識、当事者意識は急激に高まってきており、
自然順応型の文化文明様式の必要性、エコライフ、スローライフLOHAS、日本の江戸初期の循環型経済モデルの研究、CSRサステナブル未来社会の模索など、
国レベルでも民間、個人、NGONPOレベルでも、非常に素晴らしい取組みが生まれています。

第六段階 環境革命

西洋の近代物質科学文明が、全地球規模で、
人間の外的空間を無制限に開発開拓し続けてきた結果、
人類の生活環境、生命環境は、危機的な状況に追い込まれています。


地球の生命体の中でゆるぎない地位を築き上げたように見える人類は、
自らを生み育ててくれた地球の破壊者となり、
自ら地球上の絶滅危惧種になる道を辿っています。


そのような状況に対する危機感が、
「地球に優しい」「エコ」といったキーワードととなって一般常識化し、
環境汚染、環境破壊への意識が高まってきています。


この地球の環境問題の根本的な問題は何でしょうか?


問題の背景には、人間中心主義的な独善的思考、科学至上主義の暴走、
合理的、機械的世界観による生命性の喪失、終わりなき所有欲の肥大、
拝金主義的精神の蔓延など、近代の人間の精神の病が深刻に進展している事です。


グローバル経済は、アメリカの消費力に依存し、製造業中心で伸びてきました。


そして今、その結果として、物質偏重の文化文明への歪が表出し、
根本的な大変革を迫られているのが、歴史の流れです。

第五段階 科学技術革命から学ぶ人類の方向性

戦争が二度と起きないようにするにはどうしたら良いのか?


そのためには、科学技術革命の恩恵をさらに活かし、
同時に科学万能主義的な思考方式が持つ根本問題を大きく軌道修正するために、
ニュートンデカルト以来の合理的、機械的世界観の固定概念破壊がとても重要です。


人間の五感覚で確認できないもの、理知的に実証不能なものを、
完璧に切り捨ててしまったニュートンデカルト的な世界の観方に、
私たち人類は慣れすぎてしまいました。

端的に言うと、「自分の目に見えないものは存在しない」と言う論理です。


「目に見えなくても存在しているものはたくさんある」
と言うと、何かスピリチュアルな世界や、宗教的なイメージを持つでしょうか?


この無意識深い、
「人間の五感覚で確認できないものは無い」
「自分が見えるもの、聞けるもの、触れるものしか存在していない」
という固定化された思考回路を根底から疑う必要があります。


実際に、アインシュタイン相対性理論は、時間と空間に関する私たちの常識が真実ではない事を明確に証明しました。

また量子力学者たちの超ミクロの世界の探求は、その成果として「この世界を、ニュートン的な私たちの日常感覚で、すべてを分離・断絶・固定でとらえる観方は実は真実ではない」と言うことを明確に実証しました。
同時に、人間の観測行為や認識の問題、意識の問題が、実は非常に重要であることも明らかにしました。

また1900年、フロイトが心理学の世界に、マックス・プランクが物理学の世界に、革命的な世界観をもたらしていることは、とても象徴的です。


歴史の流れが、心と物質の統合的理解の時代へと進んでいるのです。


フロイトからユングに至る無意識領域の発見と集団無意識の世界、
そして相対理論と量子論による、分離不可能な宇宙自然の時間、空間、存在の真実の世界の発見のように、「ひとつにつながった世界の観方」に人類が気づきはじめています。


西欧で起こった科学革命は、その急進的な進歩の果てに、
自らが打ち立てた世界観の大きなターニングポイントを迫られ、
西洋の存在論的分析理性は、次第に心の世界と接近し、
東洋的、認識論的な直観の世界との融合を求め始めるようになっています。


この「すべてがひとつにつながった世界の観方」を人類が共通認識として学ぶ事、体得する事、
応用活用できるようになる事、そのための「教育」が必要です。

第五段階 科学技術革命後の戦争

科学革命が起きた後の戦争は、それ以前の人類の戦争の歴史とは大きく異なります。


科学技術の飛躍的な発達が戦争技術へと転化したため、
戦争の形態もそれまでにない姿になっていきます。


戦争は自分たちの生命がかかっているまさに「命がけ」の真剣勝負ですから、
勝つための技術だけではなく、勇気や愛、悲劇の物語も多数生まれ、
文学や芸術面に現れる人間精神の深さが、爆発的に湧き出た時期でもあります。


戦争技術は、石器や剣、槍からはじまって、火薬が誕生し、
ピストルや大砲、ミサイルへと進化していきます。


さらに、火薬爆発や鉄の弾による殺傷ではなく、エネルギー爆発そのものによる無差別破壊である原爆へと技術の次元は進化していきます。



戦争技術の発達は、飛行機やインターネットなど、私たちの身近な文明社会の便利さや快適さといった恩恵に転換されている事実もあります。


歴史的な個々の戦争責任についての問題は、最近でも良く耳にしますが、
本当に戦争責任を追及し、その原因を根本から解決し、二度と同じ過ちを繰り返さないようにするには、何が必要なのでしょうか?


その糸口は、第四段階の精神革命の時期に見て取れます。

・第四段階 精神革命の到達レベルの限界

第五段階 自然の力と機械の力を操る知恵の獲得

科学技術革命は、宇宙自然の存在や力の法則、仕組みを明確に人間の理性で理解していき、その結果、隠された自然の力を発見して、それを人間の意志で利用、活用するという、それまでの地球の歴史上にはなかった重大なターニングポイントを引き起こしました。


そして、自然の法則を明らかにした様々な学問の発展は、それを応用、実用化する段階に移行して、科学技術の革命的進歩をもたらす事になります。


こうして、近代科学の父、ニュートンが生まれた国、イギリスにおいて産業革命が起こり、自然の力と機械の力を操る知恵を獲得した人々は、その力を様々な分野に応用して、自らの力を拡張していく歴史が始まります。


この知恵をいち早く活用し、自然の力と機械の力を操るための「工場」を建設し、資本を蓄積する活動に着手できたのが資本家であり、工場労働に従事する労働者との間で、資本家と労働者という支配する側と支配される側の図式が生まれ、支配される側の労働者には過酷な境遇が発生しました。


この支配の図式は、ナポレオン以降高まってきた各国の民族主義的精神と重なり合いながら、国民国家間での激烈な衝突を生み出しいくことになります。


その象徴が、資本、土地、資源、労働力をめぐり、
人工的に線引きされて分割支配されたアフリカ大陸であり、
西洋列強の植民地争奪の歴史、戦争の歴史へと進んでいきます。

 第五段階 科学技術革命

「科学技術革命」が、他の革命と異なる大きな特徴として、17世紀に、西欧世界のみで生まれたと言う事があげられます。


人類歴史上のこれまでの四つの革命はどれも、空間的には複数地域でほぼ同時期に発生していますが、科学技術革命だけは、地球上で西欧と言う空間に限定されて起こっている事が大きなポイントです。


日本の軍事力は、戦国時代末期から徳川の歴史に至る頃には当時、全世界で最強だったと言う説もある位ですが、それが、西欧に圧倒されるようになったのは、西欧のみで起こった科学技術革命が、それまでの人類歴史上に無い、全く新しい未知なる力の開発に成功したことです。


これが世界の歴史における「近代」の原点となります。

科学技術革命は、第4の革命である精神革命の発展上の一部分と位置づける事ができますから、科学技術革命の種は、精神革命の中に見つける事ができます。


代表的な人物をあげれば、「知は力」といったベーコンのスタンスと、
デカルトニュートンの合理的、機械的世界観があります。

人間と宇宙自然を、それぞれ完全に無関係のものとして、バラバラに分離独立させて、
人間の理性が自然を支配すると言う理念が確立したのです。
明確な主客分離の上に成り立つ合理主義的な理性は、宇宙自然の姿を機械的に分析し続けることで、それまで隠されていた自然の本質を次々に明らかにしていったのです。


この世界観を進化、発展させ、人間がやっていた仕事を機械に代替させる手段を追及していった結果が、現在の雇用の問題と直結します。
科学技術の追求によって、急激に人間の仕事が機械化、効率化されるので、人間のやる仕事がなくなっていくのは当然です。


ですから、現在の雇用危機はサブプライムローンに端を発した突発的な不況でもなく、
一時的な不況でもなく、人類歴史上の進化発展の歴史から見て必然的に起こる構造的、歴史的な問題と言えるのです。

第四段階 精神革命の到達レベルの限界

精神革命の段階で生まれたそれぞれの思想、哲学には、長所と短所があります。


柔軟性を失って思考体系、思考回路が固定化されたものは、
宗教に似たイデオロギーとなって、他者の観点を拒絶するようになるため、
観点の違いによる見えない思想戦争が生じていると言えます。


人間の精神理性が大きく発達した結果、
「自分の観点、思想、哲学が絶対正しい」という見えない意志が固くなっていきます。


また思想や哲学といった内面的な精神性の開発は、
特に政治と経済に関わる社会科学上の問題と分離する事ができないので、
必然的に現実の社会や政治へ影響力を及ぼします。


ですから、人と人がわかりあえない、
組織と組織が協力できないという根深い問題は、
人類の精神革命の到達レベルの限界をそのまま繁栄していると言えます。


一般に神本主義から人本主義へと呼ばれる、
西洋を中心に起こった精神構造の大転換は、
科学技術の飛躍的発展へと繋がり、
その後の人類歴史に大きく貢献する一方で、
現在でも解決されていない多くの悲劇と惨劇を生み出していく事になります。


第五段階の革命である「科学技術革命」の歴史を分析する事で、
国家や文明レベルの問題点を検証していきます。